私、現在は無職ですが、何年か前までは結構大きな会社に勤めておりました。
自慢ではないのですが、それなりの大学を出て、営業マンになってからの成績も上々、前途は洋々かと思っていたのですが、うつ病に罹患した途端、人生が大きく狂いだしました。

うつ病の診断を下された後も、投薬治療を続けながら働いていたのですが、病気と薬の副作用に悩まされる毎日。
ストレスと疲労が蓄積していき、職場でのパフォーマンスは日に日に低下していきます。

会社側からは配慮を頂き、負担の少ない部署へ転属させてもらったのですが、これが仇になりました。
転属先でのパワハラです。

1日に何回も、何時間も詰問・罵倒され、人格否定や中傷の言葉を浴びせられる毎日。
個室でならまだしも、オープンスペースで衆人環視の中詰められるんですから堪ったもんではありません。
精神疾患・障害については、会社と相談してオープンにしていたのですが、それについて詰られることもありました。

うつ病になる前なら、これくらいのことは平気だったと思います。
事実、営業マン時代にはもっと過酷な環境で働いていましたし、その時は辛いことがあってもかえって奮い立つくらいでした。
しかし、うつ病になった後は頭も身体もボロボロになってしまっていたのか、同僚に詰られるだけでも、大変苦しく感じるようになりました。

パワハラというと、行為の定義が曖昧で、被害者サイドからは見ればパワハラと思われる行為でも、加害者サイドから、あるいは客観的に見るとパワハラではないケースも多々あると思います。
私の場合も、裁判等の手段でパワハラの存在を証明したわけではないですし、パワハラには当たらないかもしれませんが、とにかくこれでトドメを刺されたのは事実です。

とにかく疲弊しきっていて、朝は茫然自失の体で電車に乗り、会社へ通う毎日。
その日の朝も、通勤電車の座席に座って呆然としていると、気づいた時には職場の最寄り駅を通過していました。
これで糸が切れました。

不思議と、「引き返して会社へ向かおう」とは思いませんでした。
幸い、財布の中にはある程度の現金と、キャッシュカード・クレジットカードも入っています。
会社に残っていてもダメ、会社を辞めてもどうせダメなのだから、最後に行きたいところへ行って死のう、そう思い、とりあえず終点まで行くことにしました。

家族には「捜さないでください」という、よくある連絡を入れ、電車に乗り続けます。

出発地は伏せますが、初日はJR北陸本線で日本海に沿って本州を北上しました。

この辺りの路線、北陸新幹線が開通したおかげで三セク化され、現在は『IRいしかわ鉄道(石川県部分)』『あいの風とやま鉄道(富山県部分)』『越後トキめき鉄道(新潟県部分)』に移管されています。
『IRいしかわ鉄道』については、特例で青春18きっぷを使った通過が可能です(ただし途中下車不可)
『あいの風とやま鉄道』についても、特例で青春18きっぷを使った通過が可能です(ただし下車は富山駅・高岡駅のみ)。
『越後トキめき鉄道』については、青春18きっぷでの通過はできません。別途運賃が必要です。
世知辛いですね。

直江津行き
DSCF0757

糸魚川駅

DSCF0760

途中の車内で「もうインドかアフリカにでも行くか……」と思いつきましたが、パスポートなんて普段使わないので携帯していません。

とりあえず飛行機でどこかへ行こうと思い、駅員さんに最寄りの空港を聞いてみると、とっくに通過して真逆の方向、今からだと当日のフライトには間に合わないとのこと。
田舎の空港で『ターミナル』するのはイヤですし、サッサと遠くへ行かないと誰かに捕まりそうな恐怖も感じます。

逡巡していると、親切な駅員さんが「新潟ならフェリー乗り場があります」と教えてくれました。
どこへ行くか分かりませんが、もしかしたら中国かロシアくらいになら行けるかもしれません。
とりあえず新潟まで行くことに決めました。

なにもない直江津駅

長岡駅
DSCF0767

新潟駅
DSCF0770

新潟はかなり都会っぽい
DSCF0771

新潟に着く頃には、陽はすっかり暮れきっていました。
鈍行電車に乗りっぱなしだったので、お尻が痛いです。
バスターミナルでフェリー乗り場への経路を聞いて、バスでフェリー乗り場へ向かいます。

ターミナルより船のほうが大きい!
DSCF0773

乗り場はガラガラでした。
受付の女性に、直近の船便を尋ねると、深夜に北海道行きの船が出るとのこと。
まあそれでいいかと思い、安い船室のチケットを買いました。
DSCF0775

船の出発2時間前くらいから、団体の乗客が乗り場に集まってきました。
皆さんご旅行でしょうか、カジュアルな服装に大荷物ですね。私はスーツにビジネスバッグです。
DSCF0776

そして出港の時間が来ました。
皆さんと一緒になって船に乗り込みます。
大きなフェリーです。
DSCF0777

部屋は二段ベッド
DSCF0803

色んな意味でひどく疲れたので、風呂を浴び、ベッドに倒れました。
このフェリー、海が見える大浴場がありましたが、真夜中なのでなにも見えません。
新潟港から苫小牧港までの所要時間は17時間、プロペラの音を聞きながら到着を待ちます。

<続く>