荒川修作という美術家をご存知でしょうか?
東京・三鷹にある「天命反転住宅」を設計した人物です。
天命反転住宅は、外装・内装とともに個性的なコンセプトで設計、1995年に建築された集合住宅です。
アート作品でありながら、実際に住むことも、短期間宿泊することもできます。
一度は見てみたいと思っていたのですが、いかんせん私の家から東京は遠いのですね……そう思いながらアレコレ調べていると、なんと岐阜にも荒川が設計した施設がありました。

養老天命反転地

岐阜県養老町『養老公園』の中にある施設で、広大な敷地がそのまま芸術作品となっています。
ランド・アートというそうです。
養老町だったら行ける、ということで、行ってまいりました。


・養老公園
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初春の肌寒い時期で、ゴキゲンなお天気、お空がキレイです。
しかし岐阜はどこへ行っても田舎ですね。

入場料(700円)を支払い、天命反転地へ入ります。

養老天命反転地は、大きく分けて2つのエリアからなります。
1つは入り口すぐ、『養老天命反転地記念館』や『極限で似るものの家』のあるエリア。
もう1つは「楕円形のフィールド」と呼ばれるエリアです。

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(公式サイトより転載)


養老天命反転地の敷地へ入ると、まず左手にカラフルな建物が見えます。『養老天命反転地記念館』です。
中に入ってみると、初っ端から強烈な内部構造が。

・記念館内部
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ビビッドカラーの壁が、所狭しと建ち並んでいます。
さらに、床面の壁と対応するように、天井にも床が。

・床でしょうか?
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・天井でしょうか?
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さらに、記念館内部の床にはあちこち傾斜がついていて、歩きまわっているうちに地面が平らなのか傾いているのか分からなくなってきます。


記念館を出ると、今度は積み上げられた岩山が。
『昆虫山脈』と言うそうです。

・昆虫山脈
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どこからでも登れますし、どこからでも下りられます。ただし、ラクなルートもあれば険しいルートも。ケガをしないようにお気をつけ下さい。


『昆虫山脈』を通り過ぎると、また奇抜な建物を見つけました。
『極限で似るものの家』です

・極限で似るものの家
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この施設も『記念館』と同様、床と天井で対応するように壁が配置されており、さらに家具まで置かれています。
床の傾斜も『記念館』と同じですが、記念館より通路や視界が狭いため、平衡感覚をより狂わされるように感じました。
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通路には、急に屈曲しているところもあれば、少しずつ曲がっているところもあり、見学しているうちに現在地がどこかも分からなくなってきます。
出入口はそこらじゅうにあるので、迷ってしまっても安心です。

極限で似るものの家の屋上は、岐阜県の地図をもとにデザインされています。
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極限で似るものの家を出ると、登り坂の傾斜に沿うように、大きなオブジェが建っています。
『精緻の塔』です。

・写真奥、岐阜県の市町村地図がプリントされた『精緻の塔』
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『精緻の塔』が立つ傾斜を登る途中には、『極限に似るものの家』と『楕円形のフィールド』をつなぐ小径が存在します。

・死なないための道(NOT TO DIE STREET)
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この「NOT TO DIE」という言葉が、荒川修作作品の重要なコンセプトらしいのですが、私はアホなので深い意味は理解できませんでした。
この細い道の先に大きなランド・アートが広がっていると思うと、ワクワクしてきます。

・他にもいろんな小径があります
小径は、斜面の中を溝のように通されています。
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・どんな道(WHICH STREET)

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・消えない道(NOT TO DISAPPEAR STREET)
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そしていよいよ『楕円形のフィールド』の出現です。

・入口側からの風景
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『楕円形のフィールド』は直径200m程度でしょうか、中心部に向かって下っていく、すり鉢状になっています。
傾斜が結構急ですし、そこかしこに高低差のあるオブジェが配置されており、また段差も多く足場が悪いため、かかとの高い靴だと多分地獄を見ますので、スニーカーや運動靴など、歩きやすい靴がオススメです。
(靴・ヘルメットは現地で借りることもできます)

まずは端っこの通路を通り、『楕円形のフィールド』を囲う壁のてっぺんを目指して登ります。

・すれ違うのがやっとの、狭い通路です。空が高く見えます。
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壁の頂上は高さ10m程。養老の街が一望できます。

・田んぼと家しかありませんが……
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・壁の上から見た『極限に似るものの家』
壁と壁が、襞のように重なっています。隙間は大体全部出入口です。
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・上から見た壁と通路
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頂上は行き止まりになっていますので、狭い通路を戻り、再び『楕円形のフィールド』内部に入ります。

・亀の甲羅のような丘
てっぺんには小径が通されていて、登ることができます。
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・ねこちゃん(=^・^=)がねてました

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『楕円形のフィールド』を横切るように配された日本列島のほか、『楕円形のフィールド』に収まるように配された日本列島もあります。
足元が九州あたり、奥に見えるのが北海道です。
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・『楕円形のフィールド』端っこの壁
壁の上には謎の円盤が置かれ、壁面にはレリーフのような造形が施されています。
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・『宿命の家』
傾斜する地面の上に、背の低い壁がいくつも配置されています。
足元の窓を覗くと空間があり、中にはキッチンやリビングなどの生活の場が広がっていました。
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・茂みの中のリビング
椅子やキッチン台などの家具が配置されています。
こういうオブジェは『楕円形のフィールド』内のあちこちで発見できます。
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・『もののあはれ変容器』
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『極限に似るものの家』と同じように狭く曲がりくねった通路・足場の傾いた建物です。
ココはさらに通路が狭く、段差・高低差もあるため、
「この隙間は通り抜けられるだろうか」
「この段差は越えられるだろうか」
「このオブジェの下は潜り抜けられるだろうか」
など、身体の動かし方を考える楽しみがあります。

・『切り閉じの間』入り口
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中に入ると、真っ暗で狭い通路が続きます。
ここも地面が傾斜していて真っ直ぐ歩き続けるのが難しく、何度も壁にぶつかったり、頭を打ったりしました。痛かったです。

・『きり閉じの間』最奥には天窓が
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ちょっとゴミが溜まっちゃっています。


『楕円形のフィールド』内にはたくさんの種類の植物が植えられていて、草木を見るのも楽しみの1つだそうです。
手入れが間に合っていないためか、伸びすぎた草が通路を塞いでいる場所もありましたが、逆に言えば自然の姿が見られるということで、もし興味があれば茂みの中を覗いてみるのもいいかと思います。

たっぷり4時間ほどかけて『楕円形のフィールド』内を歩きまわりました。
終始登ったり下りたりの連続で、足がガクガクしてきたので退出。


少し時間があったので、養老公園の中を散策します。
天命反転地の隣にある芝生広場の森には、妙なクジラのオブジェや、季節によって様々な種類の草花や木、鳥の姿が見られます。

・小人のコンクリート像
公園内そこら中にあってこわいです。
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・養老の滝『孝子物語』に登場する源丞内の銅像
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『孝子物語』とは、大変な親孝行者であった源丞内の心が神様に通じて、養老の滝の水が酒に変わったという物語。
素敵なお話ですね。私も親孝行したら、近所のドブの水が酒に変わったりしないかな……ドブ川の酒は飲みたくないな……。


夕方になり、近くにある焼肉街道へ向かいました。

養老町には屠畜場・食肉加工工場があり、岐阜県の食肉流通の拠点となっている町です。
新鮮な肉が簡単に手に入るため、岐阜県内で焼き肉を食べるには最高の場所ですね。
養老町を通る岐阜県道56号線沿いには、卸したての新鮮なお肉を提供する焼肉屋さんが何軒も並んでいて、「焼肉街道」と呼ばれているそうです。
疲れましたし、さっさとおウチへ帰るつもりでしたが、せっかく養老まで来たんですし、肉を食います。

午後4時過ぎに藤太という焼肉屋さんへ向かいました。
店に着くと、開店前なのにもう長蛇の列が。1時間程待って、ようやく着席。
藤太では、牛肉のほか、馬肉なども食べられます。定番のカルビやロース以外にも、他所には出回らない珍しい部位・希少な部位のお肉を食べていると、すぐに満腹に。
この日は自動車で来たので、ビールが飲めなかったのが残念です。

混雑するあまり、テーブルは90分の時間制限付き。
入る前も出た後も、店の前には行列が絶えませんでした。


養老天命反転地で初めてランド・アートを鑑賞しましたが、作品に直接触れられるどころか、作品の中に入ること、身体全体で触れることによって、頭の先から爪先まで使ってアートを楽しむことができました。

錯視・錯覚を体験するようなトリックアートはたくさんありますが、天命反転地は施設全体を使ってそれを仕掛けてきます。
天命反転地の中にいる間は、普段は安定しているはずの様々な感覚が錯乱しっぱなしで、頭はフラフラ、目が回って、手足の動きもオカシなことになってきます。
身体性に訴え、揺さぶってくるアート。日常では体験できない感覚が味わえるはずです。

「所詮田舎の公園だろ……」そうタカをくくって、鑑賞時間を短めに見積もっていましたが、これは大きな間違いで……『楕円形のフィールド』は広く険しく、そして私の足腰は貧弱でした……。
今度は身体を鍛えて坂道に耐える体力をつけ、休憩時間もキチンと取って、丸一日かけて見に行きたいです。


養老天命反転地

岐阜県養老郡養老町高林1298-2
養老鉄道 養老線 養老駅から徒歩10分
名神高速道路 大垣ICまたは関ヶ原ICから車で20分くらい