Bus to Onomichi City
翌朝8時過ぎ、米長旅館で目を覚ましました。
しまなみ海道をなんとか走破し、肌は浅黒く焼けてキンタナ※状態です。
シャワーから吹き出すお湯が微かに染みます……。

※モビスター所属のロードレーサー、ナイロ・キンタナ(コロンビア出身)
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荷造りして、宿を出てすぐにある今治港へ向かいました。

さて、昨日は自転車で1日かけて尾道~今治間を移動して、今日はまた尾道へ戻らなければいけないわけなのですが……。

昨日は午前7時に尾道発、今治に着いたのは16時過ぎでしたから、片道に10時間弱を要したことになります。今すぐ今治を出発すると、尾道に到着するのは夜の7時前後。観光する時間なんて取れるはずもありません。

それに、しまなみ海道を走りきった時点で体力が空っぽになることは明白です。一晩ゆっくり休んだとはいえ、太もももふくらはぎもパンパンで、ついでに身体のあちこちがピキピキと痛みます……。サドルに跨ったままだったお尻にも鈍い痛みが……。

「せっかく中四国まで行くんだし、しまなみ海道を往復してサイクリングを満喫しなきゃ……」
家を出る時にはそんな使命感に駆られていましたが、現実は厳しい。正直もう当分自転車には乗りたくありません……。

というわけでサイクリングは諦め、別の手段で尾道を目指すことにしました。

尾道市と今治市は、瀬戸内海を挟んで隣接していますが、実はあんまり交通の便がよくありません。西瀬戸自動車道が開通する以前は、中間の島嶼部をつなぐフェリーを乗り継がなければいけなかったそうです。
今は西瀬戸自動車道を使って自動車で行き来できますが、始点(西瀬戸尾道IC)から終点(今治IC)までの料金は4,700円(普通車・割引なし)と、全長が59.4kmしかないのにかなり割高です。

「青春18きっぷがあるし、電車で尾道へ帰ろうか」とも思いましたが、尾道と今治を直接結ぶ鉄道線路は無いんですね……。
今治駅を出て、まず予讃線で高松方面へ行き、そして瀬戸大橋線で岡山へ渡り、そこから山陽本線で尾道へ、というルートを通らなくてはいけないわけですが。大変な遠回りになる上、所要時間は約5時間、お昼を回ってしまいます。
というわけで、船か路線バスで検討を進めました。

さて、自分の身体一つだったら移動も楽チンなんですが、忌々しいことに自転車を運ばなければいけません。
電車なら自転車の持ち込みは可能なんだけど、バスは基本的にNGな会社が多いです。
船なんて、普段乗る機会が無いのでまったく分かりません。

芸予諸島には、こんな感じで島と島をつなぐ航路がいくつもあります。

「せっかく瀬戸内海に来たんだし、船旅するのもいいな……」

そう思ってフェリー乗り場の窓口へ行き、受付の女性に話を聞いてみました。
すると、以下の様な説明が。
 ・船に自転車を積むことはできるが、原則1便につき10台まで。
 ・自転車の積み込みは先着順で予約不可、また船が混んだら積めない。
 ・自転車を積める便と積めない便がある。
 ・今治港発、終着は土生港(因島南端)
 ・所要時間は1時間ちょっと、運賃は1,750円
ふぁ、乗り場へ行っても乗れない可能性があるんですね……しかも因島南端から尾道までは30kmくらいあります……ということで船旅は却下……。

となると、あとはバスです……「サイクリストの聖地」って言うくらいだし、自転車積めるバスもあるんじゃないかな? と思って調べたら、マジでありました!

しまなみサイクルエクスプレス(おのみちバス)

自転車の積載は1便につき6台まで。
「ゴキゲンなお天気のサイクリングシーズンだから、もう空席無いかも……」と半分諦めつつ予約の電話を入れます。

私「すみません、○月×日△時尾道行きの便って、空席ありますか?」
受付さん「空いてますよ!自転車ありますか?」
私「!!!あります」
受付さん「オッケーです!名前と電話番号をお願いします!」
私「名前は~、電話番号は~」
受付さん「かしこまりました! じゃ△時に港の乗り場へどうぞ!」

あっさり取れてしまいました。ということで、今治港の売店で朝食を摂りつつ、乗り場でバスを待ちます。
港の景色はこんな感じでした。

・このビル内にはフェリー会社やバス会社が入っている
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・港の周辺は開発中みたいで、そこかしこが柵でふさがれている
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さて、バスに自転車を積む際は、直前に前輪を取り外すだけでOKとのことなので、そのままの状態で待ちます。

・私の愛車(中古3万)です
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定刻になってバスが到着し、自転車を押して乗降口へ向かいます。
前輪を外したあと、運転手さんに手伝ってもらいながら愛車をバス車内へ搬入。車両は普通の路線バスだから入り口が若干狭く、積み込みに少し苦戦しました。

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こんな感じで、荷台部分についたフックにハンドルをぶら下げてから、紐で車体をシートに固定しました。前輪も前のシートの上にくくられています。

そして高速を通り、一路尾道へ。瀬戸内海の景色を眺めながらぼーっと過ごします。
今治から乗車したのは私一人、そして尾道で降車したのも私一人。他には誰も乗っていませんでした。

文化の町 尾道

今治港を出てから1時間半ほどで、尾道駅へ到着。

・レトロな雰囲気の尾道駅前
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尾道で友人と合流する予定でしたが、待ち合わせの時間まではまだ余裕があります。
先にホテルヘ行って荷物を置こうかと思いましたが、チェックインにも早過ぎるので駅前で時間をつぶすことにしました。

駅の真横にリトルマーメイドがあったので入店。残念なことに私の家の近所には出店してくれてないので、今まで来る機会がありませんでしたが、パンもジュースも美味しいですね。
「さっき朝ご飯食べただろ」と言うのはやめてください。

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12時頃に友人と合流。尾道観光へ出かけます。
さて、尾道市といえば、『放浪記』の著者として知られる林芙美子が少女時代を過ごしたことで有名です。志賀直哉も一時期尾道に住んでいたことがあり、二人の居宅跡は今でも残されています。

・林芙美子一家がかって住んだ旧宅
駅前商店街(一番街)内の「おのみち芙美子記念館(元・喫茶芙美子)」奥に残されています。観覧無料ですが、狭い上ところどころ老朽化しているので注意が必要です。
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おのみち芙美子記念館では、尾道市立大学の学生が作ったフリーペーパーが配布されていました。小津安二郎特集、大林宣彦監督他文化人のインタビューなど、見た目も中身も大変立派な冊子です!

他にも沢山の文人が尾道を訪れていて、当地にまつわる作品をいくつも残しています。千光寺山山頂から伸びる「文学のこみち」には、尾道ゆかりの短歌などを刻んだ石碑が並んでいます。

市内にある尾道市立大学日本文学科では、創作専門のコースがあったり、小説・評論などの作品が卒業論文代わりになったりと、市を上げて文学に取り組んでいるんですね。

また、大林宣彦監督が作る映画の舞台となることでも有名。『転校生』『時をかける少女』『さびしんぼう』の「尾道三部作」、『ふたり』『あした』『あの、夏の日』の「新・尾道三部作」というのもあります。
小津安二郎監督の『東京物語』も尾道が舞台で、駅から少し歩いたところには映画資料館があります。当時の資料が多く残されていて、昭和の映画好きなら必見です。

今日同行する友人から大林宣彦映画を勧められ、旅に出る前には『尾道三部作』と『ふたり』を見て予習してきました!
その前に、まずは喫茶店で一休み。この時期はまだ毎日暑かった……。

・カフェ「大和湯」外観
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・古い銭湯を改装したもので、壁には鏡やタイル、その他の設備もそのまま残されています
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・あまなつジュース。瀬戸内で採れたものです。
喫茶のほかにランチもあり、地の穴子や尾道ラーメン、カレーなども食べられます。
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坂と路地のまち尾道
「尾道は大林映画のロケ地」と申しましたが、一口にロケ地と言っても山ほどあるので、今回は『ふたり』のロケ地に絞って巡ることにしました。
『ふたり』は、赤川次郎の小説を大林監督が映画化したもの。ちなみに、原作書籍の表紙イラストは大島弓子です。すごく豪華ですね。
映画の紹介は割愛しますが、感動で涙が出てきました。

ロケ地は、尾道駅から商店街の周辺に点在していますので、順番に巡っていきます。

・マコちゃんち
現役の旅館魚信です。

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海沿いの堤から向島が見えます。ココに腰掛けて、ミカちゃんがおみやげに買ってきたおまんじゅうを食べてました。

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映画の舞台を探して山側へ移動したんですが、とにかく路地が複雑で……ロケ地を探しているつもりが、いつの間にか現在地すら分からなくなっていました……。

・路地
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・激シブ電柱
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・(多分)雄一と実加が通った歩道橋

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・実加がジャンプして通り抜けた電柱
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・坂の家に人は住んでいるのでしょうか
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・ねこちゃん(=^・^=)
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・またねこちゃん(=^・^=)いっぱいいます(=^・^=)
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・千光寺山からの景色
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・幸せの黄色い電車?(当時も今も人生はどん底のままなのですが……)
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・林芙美子像
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・ナゾの商店
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時期は8月末で猛暑、坂を登ったり下りたりしていると、ガンガン体力を奪われていきます。
しかも街中がノスタルジック、どこもかしこも雰囲気がよすぎて、なんだかどこもロケ地に見えてきます。

2時間ほど歩きまわるとだんだん満足(というか疲弊)してきて、また休憩することにしました。
千光寺山ロープウェー乗り場のそばにある、COMMONというカフェに入ります。このお店はワッフルが美味しいと評判です。

・シックな内装
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・広島産ライムスカッシュ
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・ワッフル。白桃のシャーベットにコンポート、グレープフルーツソースがかかっています。
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時間はもう夕方近くなっていて、夕食のお店を探すことにしました。
COMMONで涼みながら商店街の飲食店マップを見ていたら、「アナゴのお造り」という文字列を発見して一瞬で虜に。
「和食のお店を探そう!」ということで、街を散策します。

とはいえ、1日歩きづめでもうフラフラ、店探しには力を割けそうにありません……。
そういえば、HUJI HOSTELのオーナーが「近所に魚のお店あるよ」って仰ってました。
「味はフツーだよ」とも仰ってましたけど、試しに行ってみることに。

・廻船酒蔵ベッチャーの胃ぶくろ
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Huji Hostelから徒歩10秒の居酒屋。早く来すぎてしまったので、店の前にヘタレこんで開店を待ちます。

・刺身の盛り合わせ。穴子、秋刀魚、鯛の刺身に、太刀魚の炙り。
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・カマスの塩焼き
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・日本酒。広島はじめ中国地方には有名な蔵元さんがたくさんありますね!
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「味はフツー」とか言ってたけど、酒も魚もメチャクチャ美味しいです!
そういえば、今治で入った「世渡」のご主人も、私が「大島の『よしうみいきいき館』でウニ丼を食べた」と話したら、「あんなとこで食うな! 家で食ったほうが美味い!」などと無茶なことを言ってましたね……。
港町の人って普段からいいモノを食べ過ぎてて、舌が肥えているのでは……?

9時過ぎくらいまでゆっくり酒と魚を堪能し、尾道駅で友達を見送ってから宿へ戻りました。

泊まるのは初日と同じくドミトリーHUJI HOSTELです。

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ちなみにこの宿、しまなみ海道を目指すサイクリストの宿泊が多く、宿のエントランスに大きな自転車スタンドが置いてあります。

海外からのリピーターも多いそうで、この日も宿泊者の半数が外国の方でした。以前はヨーロッパからの旅行者がメインでしたが、最近はアジアのお客さんも増えてきたとか。

チェックインの時に、オーナーが自家製のマップを使って近所の解説をしてくれます。お陰で食事に困らずに済みました!

また、自転車で旅行をする時にはどうしても荷物が邪魔になりますが、HUJI HOSTELさんでは短期間なら荷物の預かりも可能とか。
先に自転車や荷物を送らせてもらって、手ぶらでチェックイン、しまなみ海道をサイクリングした後は家に荷物を送る手配をしてもらい、また手ぶらで帰る、なんてこともできるらしいですよ。

また「今治で一泊してまた尾道帰ってくるなら、その間の荷物も預かるよ」とも仰ってました。
重たいリュックを背負って自転車を漕ぐのはすごく辛かったし、そうさせてもらえばよかったですね……。

タオル完備でシャワーはありますし、近くには銭湯もあります。台所は自由に使っていいそうです。
部屋は相部屋で、一部屋6人くらい。ユースホステルみたいな2段ベッドですが、そこに抵抗さえなければあとはとても過ごしやすいです。
騒いだりするお客さんはいないし、私はお布団で寝られればなんでもいいタイプだから、超快適でした。

そしてなにより安い!
いずれしまなみ海道往復にリベンジしたいから、その時はまたお世話になろうと思います。

・夜の港
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シャワーを浴びて早々に就寝。明日は倉敷へ向かいます。

<続きます>